「Tank Picture Frame」
本展開催にあたり、作品を作る端緒となる話をしないわけにはいきません。朱宮仏具店の屋上に立つ仏像は観音菩薩だと聞きました。阿弥陀三尊像では阿弥陀如来の2体の脇持で向かって右脇に据えられ、悩みに寄り添う慈悲の象徴の菩薩像です。古くから「観音さま」と親しみを持って民間信仰の中心にありました。
では向かって左側の脇侍は一体何なのか、、、それは勢至菩薩です。観音菩薩に比べるとあまり知られていませんが、阿弥陀如来の慈悲の象徴が観音菩薩であれば、智慧の象徴が、勢至菩薩です。慈悲と智慧の集合が阿弥陀如来となるわけです。仏の智慧とはいかなるものか、人間が知識と経験から積み上げてきたきた知恵とは明らかに違う、そこ知れぬ厳しさを感じるのです。
かつて、お釈迦さまの説法は、人々の迷いを悉く打ち砕いたと伝えられています。その様子は大車輪が転がるようであったと喩えられています。輪は当時のインドの戦車のことです。悟りの真理が武器に例えられていることが印象深いエピソードです。
仏教における武器というともう一つ、密教法具の金剛杵(こんごうしょ)が挙げられます。古代インドでは帝釈天などが手にする武器でしたが、密教に取り入れられ、人間の心の中の煩悩を打ち砕く、仏の智慧の徳を表す法具として用いられています。
今回、制作する作品では仏教における法輪や密教仏具の金剛杵から受けた武器のイメージを抽出し、 慈悲の象徴である観音菩薩像と場所を共有することで生まれる関係に注目して制作しました。
宮島 弘道MIYAJIMA HIROMICHI
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